EC担当の年収は会社によってなぜ違う?仕事内容・責任範囲から考える

EC担当の年収差が生まれる理由を解説するアイキャッチ画像

「同じEC担当なのに、なぜ会社によって年収がこんなに違うのだろう」。転職活動をしていると、経験してきた内容が近くても、提示される年収が大きく違うことがあります。

年収は、企業規模や業界、役職、任される責任の範囲、求められる専門性、その会社のEC事業の規模など、いくつもの要因が重なって決まります。ひとつの理由で説明できるものではありません。

そのうえで、応募する側が比較的確かめやすいのが「その年収で、実際に何を任されるポジションなのか」です。この記事では、公開されている求人データを見ながら、その確かめ方を整理します。


この記事でわかること

  • EC担当の年収に関わる複数の要因
  • 公的統計や平均年収データで「EC担当」を直接は確認できない理由
  • 同じ「EC担当」の求人でも、任される仕事がどう違うか
  • 求人票で年収を見るときに一緒に確認したい項目
目次

年収は、ひとつの要因では決まらない

EC担当の年収に関わるものを並べると、企業規模、業界、役職、担当する責任の範囲、求められる専門性、EC事業そのものの売上規模、そして会社の給与テーブルや評価制度があります。

同じ仕事をしていても、給与テーブルが違えば金額は変わりますし、EC事業の規模が違えば任される判断の重さも変わります。「スキルが高いから年収が高い」「責任範囲が広いから年収が高い」と、ひとつの軸だけで説明するのは実態に合いません。

「EC担当」の年収を、統計で直接は確認できない

調べてみると分かりますが、EC担当という職種で切った公的な統計は見当たりません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査にも、EC担当という職種区分は設けられていません。

転職サービスの平均年収データにも、EC担当という区分はありません。参考として近い職種を見ると、dodaの平均年収ランキング(2024年9月〜2025年8月、約60万件のデータ)では、職種別の平均年収はWebマーケティングが471万円、マーケティングが550万円、販売促進・広告宣伝が519万円、企画・管理系全体が580万円となっています。

この数字の扱い

上記はEC担当の相場ではありません。対象範囲が異なる参考データです。EC担当の仕事はマーケティング寄りの会社もあれば、店舗運営や物流寄りの会社もあり、これらの職種区分とは重なり方が違います。メーカーEC担当の年収の目安については、メーカーEC担当者の年収相場で実務感覚として整理しています。

同じ「EC担当」でも、求人が求める仕事は違う

統計で確かめにくいぶん、実際の求人を並べて見たほうが、違いが分かりやすくなります。2026年9月23日時点で公開されていたEC関連の求人から4件を挙げます。

求人提示年収求人票に書かれている仕事
岸田産業/ECモール運営(doda)380万〜470万円楽天・Amazon・Qoo10などの運営管理と売上管理、セールや広告施策の立案・実行、商品やレビュー、アクセスの分析
長谷川工業/ECサイト運用・企画(doda)430万〜520万円自社ECと主要モールを実務から戦略設計まで一気通貫で担当。売上・広告・CVRのKPI分析から課題抽出と改善施策の立案
ドウシシャ/EC運営責任者(doda)600万〜800万円EC店舗の売上・利益分析と課題抽出、中長期の戦略立案、関係部門との調整(必須条件に「EC店舗の運営経験(目安3年以上)」)
SOLIA/ECモール統括(マイナビ転職)700万〜1,200万円ECモールの売場全体の戦略立案、売上・利益の管理とPL責任、他部門と連携した価格・在庫戦略(必須条件にモール運営3年以上)

この表の見方

2026年9月23日時点で公開されていた求人の一例です。業界や企業規模、勤務地も異なるため、EC業界の相場や優劣を示すものではありません。求人は掲載終了や内容変更になることがあります。

4件を比べると、年収レンジの違いと一緒に、任される範囲も変わっているのが読み取れます。運営と分析が中心のもの、実務から戦略設計まで一気通貫のもの、利益や中長期の戦略まで含むもの、PL責任と価格・在庫戦略まで持つもの。

ただし、これは仕事の格付けではありません。モール運営を深く担当する仕事と、PLを持つ仕事は、求められるものが違うというだけです。どちらが上かではなく、自分が次にどの経験をしたいかで見てください。

求人票で年収を見るときの確認表

年収の数字だけを比べると判断を誤りやすいので、その年収で何を任されるのかを一緒に見ます。求人票のどこを見るかを整理すると、次のようになります。

確認項目求人票で見る場所確認したいこと
担当範囲仕事内容の冒頭、業務の箇条書き運営までか、分析・改善まで入るか、戦略まで含むか
KPI・数値責任仕事内容、求める人物像売上・利益・ROASなど、どの数字を持つのか
予算仕事内容、歓迎条件広告予算の配分を決めるのか、執行だけなのか
チャネル仕事内容、事業紹介1モールか、複数モールか、自社ECも含むか
代理店との役割分担仕事内容、体制の説明代理店がいるのか、社内はどこを判断するのか
在庫・商品への関与仕事内容、関連部署の記載在庫や商品企画と、どこまで関わるのか
チーム体制組織構成、募集背景一人で担当か、メンバーがいるか、育成や評価が入るか
年収レンジの幅給与欄、モデル年収レンジの上と下で、想定している経験がどう違うのか

求人票の書き方そのものをどう読み解くかは、EC担当の求人票の読み方で扱っています。この記事の表は、年収と仕事内容を並べて比べるための確認に絞っています。担当者と責任者で年収レンジがどう変わるのかは、EC責任者の年収と担当者との違いで整理しました。

会社の規模や商品力だけで判断しない

年収の高い会社が、自分にとって良い環境とは限りません。逆に、規模が小さい会社だから経験が積めない、ということもありません。

小規模な会社でも、モールから広告、在庫、代理店まで一人で担当していて、任される範囲が広いことがあります。逆に規模の大きい会社では、分業が進んでいて担当できるのが特定チャネルの運用だけ、ということもあります。規模と担当範囲は、必ずしも比例しません。

同じように、扱う商品が強いかどうかも、年収や経験の幅と単純には結びつきません。強い商品を持つ会社で予算を大きく動かす経験ができることもあれば、伸ばし方を自分で考える余地が大きい会社もあります。会社の属性でひとくくりにせず、その求人で任される仕事を見るほうが確実です。

年収と、積める経験の両方で比べる

私自身が転職活動をしていたときに最終的に重視したのは、提示された年収よりも、その環境で経験を積めるかどうかでした。ECへの投資があるか、意思決定が早いか、新しいことを試せるか。こうした条件は、そのときの自分にとって年収より重要でした。

ただ、これは「年収を気にしなくていい」という意味ではありません。年収は生活に直結しますし、いまの年収に納得できないこと自体が転職の理由になり得ます。比べたいのは、年収と、その年収で任される仕事の両方です。

そして、任される範囲を広げること自体は、転職しなくても取りにいける場合があります。今の会社で経験を積めるかどうかの確かめ方は、今の会社で市場価値を上げられるか確認したい5つの条件で整理しています。

同じ「EC担当」という名前の求人でも、任される仕事は会社ごとにかなり違います。年収の数字を比べる前に、その年収で何を任されるのかを確かめる。会社による違いを読み解く入口は、そこにあると思います。


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EC担当のキャリアパスとは?マネージャーになるべきかを解説

自分の現在地を整理したい方へ

年収と一緒に見たいのは、その年収で何を任されるのかです。いまの自分がどこまで担当できていて、次にどんな経験を積みたいかを整理したい方は、EC担当のキャリア現在地診断もご活用ください。所要時間は約3分です。

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この記事を書いた人

EC Career Lab運営者

EC領域で約10年。メーカーEC、ECモール企業でのメーカー支援(100社以上)を経て、現在はメーカー側で複数モールを統括し、月商1〜2億円規模のEC事業を運用しています。

メーカーECの実務とキャリアについて、現場での経験をもとに発信しています。

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