EC担当のキャリアマップ|役割とキャリアルートの全体像

EC担当のキャリアマップ|役割とキャリアルートの全体像

一般的な職種であれば、「担当→主任→課長→部長」のように、次に何を目指せばいいかが比較的分かりやすいキャリアの道筋があります。

しかし、EC担当のキャリアはそこまで単純な一本道ではありません。

EC運用を極めていく人もいれば、マネジメントへ進む人、事業側へ進む人、代理店へ移る人、メーカーへ戻る人、独立する人もいます。そして、そのどれが「上」なのかも、単純には決まりません。

私自身、メーカーEC担当としての実務や、EC代理店として多くの企業を支援してきた経験の中で、目の前の仕事をこなしているだけでは、「この経験が次にどこにつながるのか」が見えづらいと感じることが何度もありました。

この記事では、EC担当のキャリアを「フェーズ」「環境」「役割の選択」という3つの軸で1枚の地図として整理します。大事なのは、最初にゴールを決めることではなく、自分が今どこにいて、次にどんな経験を取りに行くべきかを理解することです。

目次

EC担当のキャリアマップ|3つの軸で見る全体像

EC担当のキャリアは、次の3つの軸で整理すると見えやすくなります。

  • ①能力・視座の成長(どこまで任される仕事が広がっているか)
  • ②経験を積む環境(メーカー・代理店・独立のどこにいるか)
  • ③役割の選択(マネージャー・スペシャリスト・事業責任者のどれを選ぶか)

この3つは、それぞれ独立した軸です。どれか1つが変わったからといって、自動的に他の2つも進むわけではありません。まずはこの3つを、順番に見ていきます。

①能力・視座の成長|4つのフェーズ

EC担当としての成長は、おおよそ次の4つのフェーズに分けられます。

フェーズ内容何を任されているか
フェーズ1運用・作業を正確に回せる指示された運用(商品登録・広告入稿・レポート作成など)を正確にこなしている
フェーズ2数字を見て改善できる数字を見て、自分で改善案を出している
フェーズ3社内外を動かして成果を出せる代理店や社内の関係者を動かしている
フェーズ4ECを事業として設計できる予算・チャネル・組織まで含めてEC事業を考えている

この4段階それぞれで何が評価されるのか、フェーズを上げるために何が必要かについては、評価される人が実践している5つの行動とあわせて詳しく解説しています

まだEC担当としての実務経験がない方は、未経験からメーカーEC担当になる方法もあわせてご覧ください。

②経験を積む環境|メーカー・代理店・独立

同じフェーズであっても、どの環境で経験を積むかによって、身につく力は変わります。

環境得やすい経験
メーカーブランド・社内調整・在庫・利益・経営判断など、事業全体を見る視点
代理店複数企業を担当することで得られる、施策の引き出し・実行スピード・他社比較の感覚
独立これまでの経験を、自分自身の事業として提供する立場

重要なのは、転職そのものではありません。「今の自分に足りない経験を取りに行くために、環境を選ぶ」という考え方です。

例えば、最初にメーカーでブランドや事業構造への理解を深め、その後代理店で複数企業の成功・失敗パターンを学び、その視点を持って再びメーカーへ戻り、最後に独立する、という順番を歩む人もいます。ただしこれは全員にとっての正解ではなく、経験の幅を広げるための有力な選択肢のひとつです。

メーカー・代理店・独立それぞれで得られる経験の違いや、著者自身の経験については、こちらで詳しく解説しています。メーカーECへの転職を検討している方は、会社選びのポイントを整理した記事もあわせてご覧ください。

③役割の選択|マネージャー・スペシャリスト・事業責任者

これは、フェーズ1→4の先にある「昇進の到達点」ではありません。フェーズ3〜4のあたりから見えてくる、戦略的な選択肢です。マネージャーの方がスペシャリストより上、といった上下関係ではなく、どこで自分の価値を発揮したいかという方向性の違いです。

役割方向性
マネージャー組織を動かし、人と意思決定に関わる
スペシャリスト専門性を軸に、再現性の高い成果を出し続ける
事業責任者ECだけでなく商品・利益・組織まで含めて事業を動かす

それぞれのメリット・デメリットや、どちらが向いているかの判断基準については、キャリアパスの記事で詳しく整理しています


現在地は肩書きではなく「何を任されているか」で判断する

「EC担当」「ECマネージャー」といった肩書きだけでは、実際の市場価値や成長フェーズは判断できません。同じ肩書きでも、任されている仕事の範囲はまったく違うことがあるからです。

POINT

今の自分がどのフェーズにいるかは、次の基準で判断してください。

  • 指示された運用を正確に回している → フェーズ1
  • 数字を見て自分で改善案を出している → フェーズ2
  • 代理店や社内関係者を動かしている → フェーズ3
  • 予算・チャネル・組織まで含めてEC事業を考えている → フェーズ4

肩書きが変わっても、任されている範囲が実質的にフェーズ1のままということもあれば、肩書きは変わらなくても、実質的にフェーズ3・4の仕事をしている人もいます。市場価値がどのような構造で決まるのかについては、評価構造の全体像を整理した記事もあわせてご覧ください。

何をもって「キャリアが進んだ」と言えるのか

代理店へ転職した、マネージャーになった、年収が上がった。これらの事実だけを、キャリアアップと定義しないようにしています。

環境や肩書きが変わっても、進んでいるとは限らない

環境や肩書きが変わっても、任されている仕事のレベルが変わっていなければ、フェーズは上がっていません。

逆に、肩書きが同じままでも、

  • 数字を見て改善できるようになった
  • 社内外を巻き込んで動かせるようになった
  • 事業として設計できる範囲が広がった

というように、任されている仕事の範囲が広がっているなら、キャリアは着実に進んでいます。

転職や昇進そのものを目的にすると、この判断を見誤りやすくなります。見るべきは、肩書きや年収の変化ではなく、任されている仕事の中身です。


まとめ|大事なのはゴールを決めることではなく、今の位置と次の一歩

EC担当のキャリアは、フェーズ(能力・視座の成長)、環境(メーカー・代理店・独立)、役割の選択(マネージャー・スペシャリスト・事業責任者)という3つの軸の組み合わせでできています。

重要なのは、どこがゴールかを最初から決めることではありません。自分が今どこにいて、次にどんな経験を取りに行くべきかを理解することです。

この地図を、自分の現在地を確認するための一枚として、必要なタイミングで見返してもらえればと思います。


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自分の現在地をもう少し客観的に整理したい方は、EC担当の市場価値ライト診断もご活用ください。所要時間は約3分です。

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この記事を書いた人

EC Career Lab運営者

メーカーECを中心に10年の実務経験。ECモール企業で100社以上のメーカー支援に携わり、メーカー側では月商3億円規模のECアカウント運営、月商1〜2億円規模のEC事業運用を経験。

EC担当者の仕事・市場価値・キャリア・組織構造を、実務経験をもとに整理して発信しています。

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