この記事でわかること
- 次のキャリアにつながる経験を増やすための5つの行動
- それぞれの行動から、どんな仕事に範囲が広がるか
- 5つ全部を経験する必要はない理由
- 環境によって経験できる仕事が変わるということ
- 実務の経験が、後の判断の土台になること
EC担当として働きながら、「この経験は次につながるのだろうか」と考えることがあると思います。担当業務は回っている。でも、それが自分のキャリアにどう積み上がっているのかは見えにくいものです。
この記事では、今の仕事の中で、次にどんな経験を取りにいくかを考えるための5つの行動を整理します。そもそも自分の経験をどう棚卸しするかについては、EC担当の市場価値とは何かで成果・再現性・組織通過力という3つの視点にまとめているので、この記事では行動と経験のほうに集中します。
先に前提をひとつ。この5つをやれば市場価値が高くなる、という話ではありません。評価は、応募先の企業やポジション、担当範囲、業界や企業規模、実績、マネジメント経験、そのときの求人の需給によって変わります。ここで扱うのは、選択肢を広げる材料になりやすい経験です。
次のキャリアにつながる5つの行動
① 数字を見るだけでなく、原因候補を分解する
売上やCVR、広告の効率が動いたとき、その数字を報告して終わりにせず、何が起きたのか、なぜ起きた可能性があるのか、何から確認するのかまで考えてみる。この一手間が、後から振り返る材料になります。
たとえば売上が落ちたとき、アクセスなのか、転換率なのか、客単価なのか、特定の商品だけなのかを分けて見る。そのうえで、在庫、価格、競合、季節など、確かめる順番を決める。どの数字をどう分けて見るかは、ECのKPIとは?売上のどこに問題があるかを分解するための数字で整理しています。
② 小さく改善して、結果まで確認する
改善は、大きな施策である必要はありません。商品ページの一部を変えてみる、メールの件名を変えてみる、広告の配信先を絞ってみる。規模は小さくても、自分で仮説を立てて、実行して、結果を確認したという経験は残ります。
結果が出なかった場合も同じです。なぜ効かなかったのかを考えたことが、次の判断の材料になります。うまくいった施策より、うまくいかなかった施策のほうが、後で説明しやすいこともあります。
③ 代理店や外部パートナーと、判断する経験を持つ
広告運用や制作を外部に任せること自体は、まったく問題ではありません。社内の人員やノウハウの事情で、任せるほうが合理的な場合も多くあります。
経験として残るのは、何を任せて、何を社内で判断するかを決めたこと。そして、提案を何を基準に評価したかです。この基準を自分の言葉で持てると、パートナーが変わっても同じように進められます。代理店とどう向き合うかは、代理店を使いこなせるEC人材の市場価値で扱っています。
④ 担当範囲を少しずつ広げる
商品登録、広告運用、CRM、在庫、予算、代理店、社内調整。これを全部経験しないといけない、ということではありません。
現実的なのは、今の担当業務の隣にある仕事へ、少しずつ手を伸ばすことです。広告の入稿をしているなら、成果の分析まで見せてもらう。分析までしているなら、月次の数字の場に出てみる。モールを1つ担当しているなら、別のモールの状況も見てみる。隣接する仕事が分かると、いま自分がやっていることの位置づけも見えやすくなります。
⑤ 進みたい方向に必要な経験を選ぶ
人やチームを動かす方向、EC領域を深める方向、事業として判断する方向。どの方向に進みたいかで、次に取りたい経験は変わります。
チームを持つ方向なら、後輩の育成や目標設定に関わる経験。専門を深める方向なら、担当領域で改善を重ねて説明できるようにする経験。事業を見る方向なら、利益や予算、経営層への説明に関わる経験。どの方向が上ということはありません。3つの違いはEC担当のキャリアパスで整理しています。
行動から、どんな仕事に広がるか
5つの行動を、得られる経験と、その先に広がりやすい仕事という形で並べてみます。
| 行動 | 得られる経験 | 次に広げられる仕事 |
|---|---|---|
| 数字を分解する | 原因の候補を考える | 改善施策の優先順位を決める |
| 小さく改善する | 仮説から実行、結果の確認まで | より大きな施策の判断 |
| 代理店と判断する | 提案の評価と役割分担 | 外部パートナーの管理 |
| 担当範囲を広げる | 隣接業務への理解 | 責任範囲の拡大 |
| 進みたい方向を決める | 必要な経験を選ぶ | 管理職・専門職・責任者などへの準備 |
これは点数をつけるための表ではありません。いまの自分がどの行を経験していて、どこが手つかずかを見るための整理です。
5つ全部を経験する必要はない
5つ並べましたが、全部をそろえないといけないわけではありません。進みたい方向によって、必要な経験は変わります。
広告の専門性を深めたい人にとっては、①と②を繰り返すことのほうが意味を持ちます。責任者を目指す人なら、③や④、そして予算や利益に関わる経験の比重が上がります。チームを持ちたい人なら、④の中でも人に任せる経験が効いてきます。自分がどこに時間を使いたいかで選んでください。
環境によって、経験できる仕事は変わる
どんな経験が取れるかは、本人の意欲だけで決まるものではありません。会社の環境によって、できる仕事の範囲が変わります。
EC予算を持てるのか。複数のチャネルを経験できるのか。商品企画や物流など他部署と関わる機会があるのか。代理店との折衝に入れるのか。担当範囲を広げる余地があるのか。こうした条件は会社ごとに違います。
これは転職を勧める話ではありません。今の会社の中でも、手を挙げれば取りにいける経験は意外とあります。まずは今の環境で取れるかを確かめてみて、そのうえで難しいと分かったときに環境を変える、という順番で十分だと思います。確かめ方は今の会社で市場価値を上げられるか確認したい5つの条件で整理しています。
実務の経験は、後の判断の土台になる
商品登録や入稿、在庫更新といった実務と、分析や設計の仕事を、上下で比べる必要はありません。ECの仕事では、実行する力、分析・改善する力、設計・説明する力がそれぞれ必要で、担当範囲が広がるほど使う力が増えていきます。この考え方はEC担当の仕事で使う3つの力で整理しています。
実務を経験していると、現場の負荷がどこにあるか、データがどう作られているか、実行できる範囲はどこまでか、どこでミスが起きやすいかが分かります。これは、後から施策を決める立場になったときに効いてきます。
自分の場合は、商品マスタの作成から始まり、広告やモール運営、分析、予算や代理店とのやり取り、そして事業全体の話へと関わる仕事が増えていきました。上の仕事に進んだという感覚はなくて、見える範囲と、判断する範囲が広がっていったという表現が近いです。最初の実務を知っているから疑える部分は、今でもあります。
次に取りたい経験が決まったら、それを今の仕事の中でどう取りにいくかを考えてみてください。5つの行動は、そのための入り口として使ってもらえればと思います。積み上げてきた経験を転職の場面で言語化するときは、職務経歴書で担当範囲と裁量をどう書くかもあわせてご覧ください。
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