EC担当者コース LEVEL3|数字を見て改善できる
EC担当者になると、アクセス数・CVR・客単価・CPA・ROAS・リピート率・LTV・粗利・在庫など、次々とKPI(重要指標)が登場します。
ただ、KPIを大量に並べて「全部見ましょう」と言われても、実務では活用できません。KPIの本当の役割は、指標を並べることではなく、売上のどこに問題があるかを分解するための数字だということです。
この記事では、主要なKPIを役割ごとに整理しながら、実務でありがちな失敗についても解説します。
ROASだけを見る危険性
POINT
実務でよくある失敗の一つが、ROAS(広告費用対効果)だけに注目してしまうことです。
例えば、広告経由の売上として計上されている数字の中には、実際にはさまざまな経由の売上が混在していることがあります。ROASの数値が良く見えていても、
- 新規顧客が増えていない
- リピーターの母数が増えていない
- 売上規模そのものが伸びていない
ということは十分に起こり得ます。重要なのは「数字の純度」を見ることです。一つの数字だけを見て判断するのではなく、複数の数字を組み合わせて、売上構造のどこに実態があるのかを分解して考える必要があります。
役割ごとに整理するKPI
主要なKPIを、役割ごとに整理すると次のようになります。
| 分類 | 指標 | 意味 |
|---|---|---|
| 集客 | アクセス数 | どれだけの人に見られているか |
| 集客 | CPA(顧客獲得単価) | 新規顧客を1人獲得するのにかかったコスト |
| 集客 | ROAS(広告費用対効果) | 広告費に対してどれだけ売上を生んだか |
| 購入 | CVR(購入率) | 訪れた人のうち何%が購入したか |
| 購入 | 客単価 | 1回の購入でいくら使われたか |
| 継続 | リピート率 | 一度購入した顧客が再度購入した割合 |
| 継続 | LTV(顧客生涯価値) | 1人の顧客が生涯でもたらす利益の総額 |
| 利益・在庫 | 粗利 | 売上から原価を引いた利益 |
| 利益・在庫 | 在庫 | 欠品・過剰在庫を防ぐための管理指標 |
これらは独立した数字ではなく、それぞれが「売上=アクセス×CVR×客単価」という構造のどこかを補足するための数字です。売上の仕組みそのものについては、以下の記事で解説しています。
▶ ECの売上の仕組みとは?アクセス×CVR×客単価だけで終わらせない考え方
KPIをどう組み合わせて見るか
実務では、次のような順番でKPIを確認すると、問題の所在を分解しやすくなります。
まず売上全体の推移を見る(伸びているか、横ばいか、落ちているか)
アクセス・CVR・客単価のどこが変化しているかを分解する
新規とリピートの内訳を確認する(新規が増えているか、リピーターが積み上がっているか)
CPA・ROASと粗利を突き合わせ、利益が伴っているかを確認する
ROASだけを見て「広告が好調」と判断しても、新規が増えていなければ、既存顧客への広告が売上を肩代わりしているだけかもしれません。逆に、新規は増えているのにリピート率が低ければ、獲得した顧客を維持できていないという課題が見えてきます。数字は単体ではなく、組み合わせて初めて意味を持ちます。
一つの数字だけで判断しない
KPIを設計するうえで大切なのは、「この数字さえ良ければ大丈夫」という単一の指標に頼らないことです。ROASが良くても新規が増えていない、CVRが良くてもアクセスが少ない、といったことは実務では頻繁に起こります。
複数の数字を組み合わせて、売上のどこに問題があるのかを分解する。これがKPIの本来の使い方です。
在庫もKPIの一つとして見る
売上・利益系のKPIに比べて見落とされがちですが、在庫も重要な指標です。欠品が続けば、モール内での評価やSEO上の露出に影響しますし、過剰在庫は保管コストを圧迫し、結果的に利益を削ります。
売上を伸ばす施策を考えるときは、それに見合った在庫が確保できているか、逆に在庫が余っていないかも合わせて確認する必要があります。KPIは売上・利益の指標だけで完結するものではありません。
KPIを設計するときの注意点
KPIを設計するときにありがちなのが、他社事例やモールの推奨指標をそのまま自社に当てはめてしまうことです。商品特性(単品リピート型か、まとめ買い型かなど)や、自社ECかモールかによって、重視すべき指標の優先順位は変わります。
まずは自社の売上構造がどう成り立っているかを理解したうえで、その構造のどこを改善したいのかに応じてKPIを選ぶ。これが、KPIを「並べる」のではなく「使う」ための第一歩です。
まとめ|KPIの先にあるもの
KPIは、大量に並べて眺めるものではなく、売上構造を分解し、次の打ち手を判断するための道具です。
そして、どのKPIを重視し、どう解釈するかは、最終的には「判断軸」の問題になります。この判断軸を持てるかどうかが、EC担当者からEC責任者へ成長するうえでの大きな分かれ目です。次は、EC責任者・マネージャーが実際にどのような仕事をしているのかを見ていきます。
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