EC担当者コース LEVEL3|数字を見て改善できる
EC担当者になると、まず教わるのが「売上=アクセス数×CVR(購入率)×客単価」という公式です。
この公式自体は正しいのですが、これだけで売上を理解したつもりになると、実際のメーカーEC事業を動かすうえでは不十分です。売上の先には利益があり、利益の前には広告費・モール手数料・物流費が引かれ、さらにリピートやLTVまで含めて初めて事業の実態が見えてきます。
この記事では、売上の基本公式から一歩踏み込み、メーカーEC事業の構造として売上をどう捉えるべきかを整理します。
この記事でわかること
- 売上=アクセス×CVR×客単価という基本公式の考え方
- 売上だけでなく利益・CPA・LTVまで含めて見る考え方
- 価格設計は商品力によって変わること
- 見落とされがちなコスト(モール手数料・物流費・返品コスト)
- チャネルや組織によって売上構造の見え方が変わること
売上の基本公式
売上は、次の3つの掛け算で成り立ちます。
売上 = アクセス数 × CVR(購入率) × 客単価
売上が伸びないとき、この3つのどこに問題があるのかを分解して考える。これがEC担当者の基本動作です。アクセスが足りないのか、来ているのに買われていないのか、買われているが単価が低いのか。原因によって打ち手はまったく変わります。
売上だけを見ても意味がない理由
POINT
ただし、売上が伸びたからといって、事業がうまくいっているとは限りません。売上から、広告費・モール手数料・物流費などのコストを引いて、最終的にいくら利益が残るかが本質だからです。
基本的な考え方として重要なのは、必要な利益率を確保できる価格設計です。商品力や競合優位性があれば、利益を確保しながら売上を伸ばす設計もしやすくなります。
一方で、商品力やブランド力がまだ弱い場合は、広告投資によって新規顧客を獲得し、その後のリピートで投資分を回収していくという考え方が、実務ではよく使われる王道の一つです。この場合、「初回購入の時点で利益が出たかどうか」だけで判断してしまうと、正しく事業を評価できません。CPA(顧客獲得単価)・継続率・リピート・LTV(顧客生涯価値)・粗利・広告費といった複数の要素を組み合わせて、初めて実態が見えてきます。
価格設計は「商品力」によって変わる
価格をどう設計するかは、商品力・ブランド力によって考え方が変わります。
競合に対して明確な優位性がある商品であれば、値引きに頼らず、必要な利益率を確保した価格で販売しやすくなります。一方、商品力やブランド力がまだ弱く、価格や広告で新規顧客を引き寄せる必要がある場合は、初回購入時点での利益は薄くなりがちです。その分をリピート購入で回収していく、という前提で事業設計をすることになります。
どちらが正解というわけではなく、自社の商品がどちらの状況に近いのかを把握したうえで、価格とKPIの設計を合わせる必要があります。
リピートとLTVがなぜ重要か
特に広告投資によって新規顧客を獲得するモデルの場合、1回の購入だけで利益を出そうとすると、広告費に見合わなくなるケースが多くあります。
そのため、その顧客が今後どれだけ購入を継続してくれるか(LTV)を含めて、広告投資が妥当かどうかを判断する必要があります。単品リピート型の商材であれば特に、初回購入後にどれだけ継続してもらえるかが、事業全体の利益構造を大きく左右します。
見落とされがちなコスト
売上から利益に落とし込む過程では、広告費以外にも見落とされがちなコストがあります。
- モール手数料:売上に対して一定割合が差し引かれる
- 物流費:出荷件数が増えるほど積み上がる
- 返品・キャンセルにかかるコスト
これらは売上が伸びるほど比例して増えていくコストのため、「売上は伸びているのに手元に残る利益が思ったより増えない」という状態を生みやすい部分です。売上の伸びだけを追うのではなく、伸びに応じてコストがどう変化するかまで含めて見る必要があります。
チャネルによって売上構造は変わる
売上の構造は、自社ECかモールかによっても変わります。モールではモール手数料が発生し、SEOで上位を取るための広告投資や販売実績づくりが重要になります。自社ECでは手数料はない一方、集客をすべて自力で行う必要があり、CPAが高くなりやすい分、LTV前提での設計が求められます。
自社ECとモールの違いについては、こちらの記事でより詳しく整理しています。
▶ 自社ECとモールの違いとは?メーカーEC担当者が知っておくべき使い分けの考え方
組織によっても売上の見え方は変わる
同じ売上構造でも、実務担当なのか、複数チャネルを統括する立場なのかによって、見るべき数字の粒度は変わります。実務担当であれば日々のCVRや客単価の変化に目が向きますが、統括する立場になると、チャネル横断での利益や、広告費全体の配分といった、より大きな単位での判断が求められます。
自分が今、売上構造のどの部分に責任を持っているのかを意識することも、実務では大切な視点です。
まとめ
売上=アクセス×CVR×客単価という公式は、あくまで入り口です。そこから先の、利益・広告費・モール手数料・物流費・リピート・LTVまでを含めて考えて初めて、メーカーEC事業の実態が見えてきます。
次は、この売上構造を実際にどの数字で管理していくのか、EC担当者が押さえておくべきKPIの考え方を見ていきます。
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