EC担当のキャリアパスとは?マネージャーになるべきかを解説

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EC責任者コース LEVEL1|役割転換する

EC担当として成果を出していると、「マネージャーにならないか」「チームを見てほしい」という話が出てくることがあります。一方で、実務が面白くなってきたタイミングでもあるので、素直に喜べないこともあると思います。

私はECモール企業で100社以上のメーカーを支援し、メーカー側で複数モールのEC事業を運営してきました。管理職の打診を受けたこともあります。その中で感じているのは、EC担当のキャリアは上か下かではなく、どの方向へ進むかの選択だということです。

この記事では、EC担当の代表的な3つの方向と、自分がどの方向に進みたいのかを考えるための材料を整理します。そのうえで、選んだ方向へ進むために次に取りたい経験まで落とし込みます。


この記事でわかること

  • EC担当のキャリアの3方向(管理職・ECスペシャリスト・EC責任者/事業責任者)の違い
  • どの方向が上、という話ではない理由
  • 「関心 → 次に取りたい経験」で方向を考える判断表
  • 幅広く担当してきた人が、どこから比重を移していくか
  • 年収や市場価値をいったん外して考えたときに残るもの
目次

EC担当のキャリアは3つの方向に分かれる

EC担当のその先は、大きく3つの方向があります。どれが上ということではなく、任される内容と、求められる力が違います。

方向中心になる仕事評価されやすいこと
管理職(マネージャー)チームの目標設定、業務配分、育成、評価人を通じて成果を出せること
ECスペシャリスト分析、課題発見、施策の設計と改善EC領域で成果を再現できること
EC責任者・事業責任者売上と利益、予算配分、チャネル戦略、組織事業として数字を作れること

会社の規模や組織によって、この3つの境目は変わります。少人数の組織ではEC責任者が実務も持ちますし、大きな組織ではスペシャリストがチームを持たずに専門領域だけを見ることもあります。だから「この方向に進めば市場価値が上がる」とは言い切れません。評価は、会社の規模、任される役割、専門領域、そして本人が何を目指しているかで変わります。

「関心」から「次に取りたい経験」を考える

方向を決めるときに見たいのは、肩書きではなく、自分が何に関心を持てるかです。そのうえで、その方向へ進むために次にどんな経験が必要かを考えます。

キャリアの方向向いている関心次に取りたい経験
管理職人やチームを動かすことに関心があるメンバーの育成、目標管理、採用、評価、チームのKPI設計
ECスペシャリストECそのものを深く追い続けたい分析、課題発見、改善の反復、複数チャネル、専門領域の深掘り
EC責任者・事業責任者ECだけでなく事業全体を動かしたい売上と利益、予算、在庫、商品、組織、経営層への説明

これは適性診断ではありません。「この関心があるならこのキャリアしかない」ということもありません。複数に関心があってもいいですし、時期によって変わっても構いません。方向を考えるときの材料として使ってください。

① 管理職(マネージャー)という方向

自分が成果を出すから、チームで成果を出すへ

管理職になると、仕事の中心が変わります。自分が施策を回して成果を出すのではなく、メンバーに業務を配分し、目標を設定し、育成し、評価する。チームとして成果が出る状態を作ることが仕事になります。

そのぶん、広告運用やページ改善といった実務に自分で触れる時間は減りやすくなります。これは良し悪しではなく、役割が変わるということです。実務が好きな人にとってはズレを感じる場面かもしれませんし、人が育つことに手応えを感じる人にとっては面白くなる場面だと思います。

年収については、会社の等級や評価制度と結びついていることが多く、管理職になることで給与レンジが変わる会社もあります。ただ、これは会社の制度によるので、一般論としてどれだけ上がるとは言えません。責任範囲と年収レンジの関係は、EC責任者の年収と担当者との違いで求人例をもとに整理しています。

マネジメントが得意な人には、この方向を勧めたい

私は、人のマネジメントに興味がある人、それが得意な人には、管理職を目指してほしいと思っています。人を動かして成果を出せる人がいないと、組織としてのECは前に進まないからです。

逆に言えば、管理職にならないことがキャリアアップしていないという意味にはなりません。方向が違うだけです。

② ECスペシャリストという方向

ECを深く追い続ける方向もあります。広告、CRM、モール、分析など、特定の領域で成果を出し続けられる人は、組織の中でも転職市場でも必要とされます。

私自身が目指しているのはこの方向です

私が今後目指したいのは、ECスペシャリストです。理由はシンプルで、ECを主戦場にして、これからもキャリアを築いていきたいからです。

もう少し具体的に言うと、ECで悩んでいる人と情報を共有しながらキャリアをサポートしたり、企業のアドバイザーとして貢献したりする方向を考えています。

マネジメントそのものより、自分でスキルを身につけて、実務で使って、その経験や知識を人に共有する。この流れのほうが自分は得意ですし、やっていて楽しいと感じます。だから管理職ではなくこちらを選んでいる、というだけのことです。

「詳しい」だけでは専門性にならない

ただし、スペシャリストは「そのツールに詳しい人」という意味ではありません。数字を分析して課題を見つけ、施策を決めて実行し、結果を見て改善する。それを別の商品やチャネルでも再現できることが、専門性として評価されます。

何が評価につながるのかはEC担当の市場価値とは何かで、スキルの価値が目指すキャリアによってどう変わるかはEC担当のスキルの価値は目指すキャリアで変わるで扱っています。

③ EC責任者・事業責任者という方向

3つ目が、ECを事業として動かす方向です。売上だけでなく利益、予算の配分、在庫、商品、チャネルの戦略、そして組織まで見ることになります。経営層に対してEC事業の状況を説明する役割も入ってきます。

この方向では、施策を実行する力より、何をやって何をやらないかを決める判断が中心になります。担当者と責任者で何が変わるのかは、EC責任者とEC担当者の違いで詳しく整理しています。

なお、会社によっては、この方向と管理職がほぼ同じ意味になることもあります。EC責任者がチームのマネジメントも兼ねる組織は珍しくありません。自分の会社でこの2つが分かれているのかどうかは、確認しておくと進み方が見えやすくなります。

「何でも屋」からどう方向を決めるか

メーカーECでは、少人数の組織だと広告も商品ページもモールも自社ECも在庫も代理店も分析も、全部担当することがあります。

この経験は無駄ではありません。むしろ、EC全体の流れと、どこが売上に効くのかの感覚は、幅広く担当した人のほうが早くつかめます。最初から専門領域を決めておかないといけない、ということもありません。

幅広く経験したあとで、少しずつ比重を移していけば十分です。

人やチームを動かす仕事が増えていくなら管理職の方向に、特定領域を深めて成果を再現できるようになっていくならスペシャリストの方向に、利益や予算を含めて判断する場面が増えていくなら事業責任者の方向に、自然と寄っていきます。どこに時間を使いたいかで、寄せる方向を選べばいいと思います。

メーカー側と支援会社側で積みやすい経験が違うように、環境によって寄せやすい方向も変わります。その違いはメーカーECと支援会社で身につく経験の違いで整理しています。

年収や市場価値を、いったん外して考えてみる

方向を決めるとき、年収や市場価値から逆算したくなります。もちろんそれも大事な条件です。

ただ、それをいったん外して考えたときに、私がいちばん大切だと思うのは、やりがいと、自分が楽しいと思える方向です。ECの仕事は、同じ担当範囲でも考えることが多く、続けるほど判断の機会が増えていきます。興味が持てない方向に進むと、それがしんどさになります。

ただし「好きな方向へ」だけでは進めない

一方で、やりたい方向を決めただけでは進めません。決めたあとに必要なのは、その方向に進むために、次にどんな経験を取るかです。

管理職の方向なら、いきなり役職がつくのを待つのではなく、後輩の育成や目標の設定、チームの数字を見る仕事を引き受けてみる。スペシャリストの方向なら、担当領域で課題を見つけて改善し、その結果を説明できる形で積み上げる。事業責任者の方向なら、利益や予算の話に入り、経営層への説明の場に出る機会を増やす。

その経験を今の会社で取りにいけるのかどうかは、環境によります。判断の仕方は今の会社で市場価値を上げられるか確認したい5つの条件で、取りにいけないときの考え方も含めて整理しています。転職を選ぶ場合は、その方向で何を任されるのかを志望動機の組み立ての中で言葉にしておくと、面接でのすり合わせがしやすくなります。

どれが上かではなく、どこに時間を使いたいか

管理職、ECスペシャリスト、EC責任者・事業責任者。この3つに優劣はありません。会社の規模や役割、専門領域、本人が目指す方向によって、評価のされ方も変わります。

考えたいのは、どれが一番上かではなく、自分は何をやりたいのか。そして、その方向へ進むために次にどんな経験を取りにいくのか。この2つが決まっていれば、打診を受けたときも、転職を考えるときも、判断の軸ができます。

キャリア全体の地図として役割とルートを俯瞰したい場合は、EC担当のキャリアマップもあわせてご覧ください。


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自分の現在地を整理したい方へ

管理職か専門性かの判断は、いま自分が担当範囲・裁量・組織をどこまで動かせているかから逆算できます。現在地を客観的に把握したい方は、EC担当のキャリア現在地診断もご活用ください。所要時間は約3分です。

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この記事を書いた人

EC Career Lab運営者

EC領域で約10年。メーカーEC、ECモール企業でのメーカー支援(100社以上)を経て、現在はメーカー側で複数モールを統括し、月商1〜2億円規模のEC事業を運用しています。

メーカーECの実務とキャリアについて、現場での経験をもとに発信しています。

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