EC内製化が失敗する企業の共通点|「人を増やせば解決」は間違いです
EC運用を続けていると、多くのメーカーが一度は「内製化」を検討します。
- 代理店費用を抑えたい
- ノウハウを社内に蓄積したい
- 自分たちでECをコントロールしたい
こうした理由から、
「そろそろ代理店をやめて内製化しよう」
という話が出ることも珍しくありません。
しかし実際には、内製化したにもかかわらず成果が出ず、再び代理店へ依頼する企業も少なくありません。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
私はメーカーECで代理店と仕事をする中で、
内製化が失敗する会社には共通する構造がある
と感じてきました。
この記事では、EC内製化が失敗する理由を「組織構造」という視点から整理します。
「代理店をやめれば内製化できる」は誤解
内製化という言葉を聞くと、
「代理店をやめて全部自社でやること」
をイメージする人も多いと思います。
しかし私は、この考え方には違和感があります。
社内にナレッジがない状態で代理店を外しても、意味はありません。
むしろリスクの方が大きくなります。
例えば、
- 広告予算はどう配分するのか
- どのモールへ投資するのか
- KPIは何を最優先にするのか
- 施策の優先順位をどう決めるのか
こうした判断基準が社内になければ、
代理店がいなくなった瞬間に意思決定が止まります。
つまり、
内製化とは「作業を自社で行うこと」ではありません。
判断できる状態を作ることです。
内製化が失敗する企業の3つの共通点
① ナレッジが社内に残っていない
代理店から毎月レポートを受け取り、
定例会を実施している企業は多くあります。
しかし、
レポートを見ていることと、理解していることは違います。
例えば、
「なぜこの広告予算にしたのか」
「なぜ楽天ではなくAmazonへ投資したのか」
「なぜレビュー改善を優先したのか」
こうした意思決定の背景まで社内へ残っているでしょうか。
数字は残っていても、
考え方が残っていない会社は少なくありません。
その状態では、
担当者が変わった瞬間に同じ判断はできなくなります。
② EC担当者に知見がない
私は、
内製化できる会社には共通点がある
と思っています。
それは、
社内にECの知見があることです。
例えば、
モールごとの特徴
広告運用
利益構造
競合分析
こうした知識をEC担当者が理解していれば、
代理店の提案を評価できます。
逆に、
知識がない状態では、
代理店の提案をそのまま受け入れるしかありません。
すると、
意思決定は実質的に代理店側へ移ってしまいます。
③ 人を採用すれば解決すると考えている
「EC経験者を採用したから大丈夫」
この考え方も危険です。
ECは、
一人の優秀な担当者だけでは成り立ちません。
必要なのは、
- KPI
- 判断基準
- ナレッジ
- 改善プロセス
これらが組織として共有されていることです。
担当者が異動しても、
同じレベルで意思決定できる状態。
ここまで作れて初めて、
組織として内製化できたと言えます。
私が考える「内製化できた会社」の条件
私が内製化できている会社だと思うのは、
次のどちらかを満たしている会社です。
① 社内にナレッジが蓄積されている
または
② EC担当者自身に十分な知見がある
つまり、
誰が担当しても、
「なぜこの施策をやるのか」
を説明できる状態です。
この状態であれば、
代理店を活用していても、
主体はメーカー側にあります。
私なら何を最優先で内製化するか
もし私がメーカーECの責任者なら、
最初に社内へ戻すのは
施策の決定権
です。
例えば、
広告予算の配分
モールごとの投資判断
レビュー施策の優先順位
KPIの設計
ここはメーカーが持つべきです。
一方で、
広告運用
クリエイティブ制作
レポート作成
など、
実際に手を動かす部分は代理店でも構わないと思っています。
代理店には専門性があります。
だからこそ、
専門性は活用しながら、判断だけはメーカーが持つ。
これが理想だと考えています。
「全部内製」が正解ではない
内製化という言葉だけが独り歩きすると、
「全部自社でやろう」
という発想になりがちです。
しかし私は、
それが必ずしも正しいとは思いません。
広告運用。
デザイン制作。
SEO。
モール運営。
こうした専門領域は、
代理店の方が経験値を持っていることもあります。
重要なのは、
代理店を使うかどうかではありません。
重要なのは、
- 知識がどこに蓄積されるか
- 意思決定を誰が持つか
- 判断基準が社内にあるか
この3つです。
内製化とは「判断できる組織」を作ること
EC運用は、
作業だけでは成果は出ません。
売上を伸ばすためには、
何を優先するか。
どこへ投資するか。
どんなKPIで評価するか。
こうした判断が必要です。
だから私は、
内製化とは
「作業を自社で行うこと」ではなく、
「判断できる組織を作ること」
だと考えています。
まとめ|代理店をなくすことが内製化ではない
EC内製化は、
多くのメーカーが目指すテーマです。
しかし、
代理店をやめれば解決するわけではありません。
本当に重要なのは、
- 社内にナレッジが蓄積されていること
- EC担当者が構造を理解していること
- メーカー側が施策の決定権を持っていること
この3つです。
代理店は、
実務を支えるパートナーとして活用すればいい。
ただし、
戦略や判断まで代理店へ任せてしまうと、
組織は成長しません。
ECは、
戦術ではなく構造で成長する領域です。
だからこそ、
内製化を考える前に、
まずは「判断できる組織」を作ることが重要だと私は考えています。

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