「楽天の経験はありますか?」で、転職の選択肢が狭まった話。

ECの仕事で転職活動をしていた頃の話。

求人票を見ていると、特定のモールの運用経験が条件として書かれていることがあった。

歓迎条件として添えられていることもあれば、応募条件のほうに入っていることもあった。

当時の自分には、Amazonも楽天もQoo10も、運用の経験がなかった。

だから求人を見ながら、
「これは自分は対象外かもしれないな」
と思うことが何度かあった。

面接でも聞かれた。

「楽天の経験はありますか?」

「ありません」と答えるしかなかった。

その状態で落ちた選考もある。

ただ、落ちた理由が楽天経験の有無だったのかは、今も分からない。
結果だけを見て、そう決めつけることはできないと思っている。

実際、「楽天の経験はありません」と答えたうえで採用された会社もあった。

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「根底は一緒じゃん」と思っていた

当時の自分が引っかかっていたのは、そこだった。

楽天を触ったことがないだけで、そんなに違うものなのだろうか。

ECで商品を売るという意味では、考えることの根っこは同じじゃないのか。

人を集めて、買ってもらって、購入金額を上げる。
どのモールでも、向かう先はそこのはずだ。

そう思っていたので、モール名で線を引かれる感覚には、正直うまく納得できていなかった。

同じ「EC経験者」でも、どのモールをやってきたかで見られ方が変わる。

そのことが、当時は飲み込みにくかった。

その後、実際にやってみた

そのあと、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピング、Qoo10を実際に担当することになった。

先に書いておくと、当時の自分の考えが間違っていたとは、今でも思っていない。

売上を分解すれば、結局はUU × CVR × 客単価に行き着く。

どうやって人を集めるか。
どうやって買ってもらうか。
どうやって購入金額を上げるか。

この3つを考えるという意味では、どのモールでも変わらなかった。

でも、やることは結構違った

一方で、その数字をどう動かすかは、思っていたよりモールごとに違った。

ユーザーの買い方が違う。
効く広告が違う。
セールやイベントの組み方が違う。
ポイントやクーポンの意味合いも違う。

同じ「UUを増やす」でも、あるモールで効いた打ち手が、別のモールではほとんど動かないことがあった。

同じ「CVRを上げる」でも、商品ページで手を入れるべき場所が違った。

根っこは同じでも、実際に手を動かす部分は別物に近い。

そういう場面が、想像していたより多かった。

今なら、聞かれていた理由も少し分かる

それを何度か経験してから、あの質問を思い出すようになった。

「楽天の経験はありますか?」

あれは、管理画面を触ったことがあるかどうかだけを聞いていたわけではなかったのかもしれない。

そのモールで何が効いて、何が効かないのか。
他のモールと何が違って、どこを変えないといけないのか。

そこまで含めて確認したかった会社も、たぶんあったのだと思う。

そう考えると、モール経験を聞く側の事情も、当時よりは分かる気がする。

ただ、経験者なら分かっていて、未経験者なら分かっていない、という話ではない。

自分自身、楽天未経験のまま採用されたことがある。
別のモールでやってきたことを持ち込める場面も、実際にあった。

それでも、そのモールをやった人にしか見えていない違いは、確かにあると思う。

最近は、「EC経験があります」という一言が、あまり情報を持っていない言葉に思えるようになった。

Amazonを深くやってきた人。
楽天を深くやってきた人。
複数のモールを横断してきた人。
自社ECを中心にやってきた人。

同じ「EC経験者」でも、やってきたことはかなり違う。

逆に「楽天経験あり」と書いてあっても、その人が楽天のどこまで分かっているかは、それだけでは分からない。

じゃあ何で測るのか、と考えると、今でもうまく答えが出ない。

昔のように「根底は一緒じゃん」と言い切ることも、もうできなくなった。

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この記事を書いた人

EC Career Lab運営者

EC領域で約10年。メーカーEC、ECモール企業でのメーカー支援(100社以上)を経て、現在はメーカー側で複数モールを統括し、月商1〜2億円規模のEC事業を運用しています。

メーカーECの実務とキャリアについて、現場での経験をもとに発信しています。

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