ECの仕事をしていて、自分から社内に共有しないと評価されないな、と感じたことがあります。
売上が伸びた。広告を改善した。業務を効率化した。自分では成果だと思っていても、上司や周囲が「それが何をした結果なのか」を理解しているとは限りません。ECは商品、市場、競合、季節、広告など、いろいろな要因で数字が動きます。だから「売上が伸びました」とだけ伝えても、自分が何をしたのかは意外と伝わりません。
この記事では、成果そのものではなく、自分がやったことを社内にどう伝えるかを整理します。
この記事でわかること
- 「売上が伸びた」だけでは自分の仕事が伝わりにくい理由
- 成果を社内に伝えるときに押さえたい5項目
- 売上以外の改善を、会社への貢献としてどう伝えるか
- ECに詳しくない相手に説明するときの言い換え
- 「評価されないから転職」の前に確認したいこと
「売上が伸びた」だけでは、何をしたかが伝わらない
売上が重要な指標であることは変わりません。会社としては、売上と利益を見るのが自然です。
ただ、EC担当の仕事は、売上の変化と自分がやったことが一対一で結びつきません。新商品が当たった、テレビで取り上げられた、競合が在庫を切らした、季節要因が強かった。そうした事情が重なって数字は動きます。だから「前年比120%になりました」だけを報告すると、その数字のうちどこが自分の判断によるものかは、聞いている側には分かりません。
逆も同じです。数字が伸びなかった時期に、値引きに頼らず利益を守った判断をしていても、それは数字の表面には出てきません。
だから伝えたいのは、売上の数字ではなく、何が課題で、何を変えて、その結果どうなったのかです。実績そのものの捉え方はEC担当の「実績」とは何かで扱っているので、ここでは社内への伝え方に絞ります。
成果を社内に伝える5項目
報告のときに、次の5つを一緒に伝えると、自分がやったことが相手に届きやすくなります。自分を大きく見せるための表ではありません。自分の仕事と外部要因を切り分けて、上司が判断できる形にするための整理です。
| 確認すること | 伝える内容 |
|---|---|
| 課題 | 何が問題だと考えたか |
| 自分の行動 | 自分が何を変えたか |
| 結果 | どの数字、どの業務が変わったか |
| 外部要因 | 商品・市場・季節など、他に影響したもの |
| 次の判断 | その結果を受けて、次に何をするか |
特に4番目を入れるかどうかで、伝わり方が変わると感じています。「すべて自分の施策の効果です」と言い切らず、「季節要因もあるので、そこは差し引いて見ています」と添えられる人のほうが、説明として信用されやすいからです。外部要因まで含めてロジカルに説明できると、次に何をすべきかの話にもつながります。
売上以外の改善も、会社への貢献として伝えられる
業務改善は、私は評価されるべきものだと思っています。
作業時間を減らした。レポート作成を効率化した。代理店との進め方を変えて、やり取りの往復を減らした。ミスの発生を減らした。判断に必要な数字を、誰でも見られる形にした。こうした改善は、直接の売上にはならなくても、会社にとっての貢献です。
ただし、これらが必ず評価につながるとは限りません。何を評価するかは会社の制度や、その人に期待されている役割によって変わります。だからこそ、改善したことを黙って終わらせず、何がどう変わったのかを数字や事実で伝えておくことに意味があります。作業時間なら「月◯時間」、ミスなら「発生件数」といった形で、変化が見えるようにしておくと共有しやすくなります。
社内でも、自分の仕事を共有する必要がある
社内でもPRはしないと埋もれてしまう、というのが私の実感です。
ここで言うPRは、手柄をアピールすることではありません。自分の仕事を、適切に共有することです。
共有の仕方の違い
伝わりにくい:「売上が上がりました」
伝わりやすい:「◯◯が課題だと考えて、◯◯を変更しました。その結果◯◯が変化しています。ただ、同じ時期に季節要因もあるので、すべて施策の効果とは考えていません」
ECの仕事は、周囲から中身が見えにくいところがあります。日々の分析も、代理店とのやり取りも、社内調整も、外からは結果の数字しか見えません。だから、自分から言葉にしておく必要があります。
ECに詳しくない相手に、どう伝えるか
上司や他部署が、ECの指標に詳しいとは限りません。これは相手の理解不足というより、担当していなければ馴染みがない、というだけの話です。
ROAS、CVR、CPA、モール内SEO、CRM。EC担当にとっては日常の言葉でも、そのまま出すと話が止まってしまうことがあります。そういうときは、相手が判断できる言葉に置き換えます。
| そのまま言うと | 言い換えの例 |
|---|---|
| ROASが改善しました | 同じ広告費で得られる売上が増えました |
| CVRが上がりました | 同じアクセス数でも、購入に至る割合が増えました |
| CPAが下がりました | 新規のお客様1人を獲得するのにかかる費用が下がりました |
| モール内SEOを改善しました | モールの検索結果で商品が見つかりやすくなりました |
専門用語を使ってはいけない、という話ではありません。指標をそのまま使いつつ、その数字が事業にとって何を意味するのかを一言添える。それだけで、判断する側は受け取りやすくなります。
日々の仕事の進め方も、見られている
私自身は、上司から評価されなかったと感じた経験はあまりありません。ただ、もし信頼されていない状態だったら、売上を上げても評価にはつながりにくいのではないか、という感覚はあります。
成果さえ出していれば、普段の仕事の進め方や周囲とのやり取りは関係ない、とは限らない、ということです。これを新しい評価条件にするつもりはありませんが、説明が伝わるかどうかは、日頃どう仕事を進めてきたかにも影響を受けると思います。
社内評価と転職市場は、別物だが重なる部分もある
社内の評価と、転職市場での評価は、同じではありません。
転職では、職務経歴書や面接という形で、自分の経験を詳しく説明する機会があります。一方、社内では、日々の仕事ぶりを見ている上司が評価します。同じ経験でも、伝わり方が違います。
ただ、共通する部分もあります。何を考えて、何をして、どう変わったのかを自分の言葉で説明できること。これは社内の報告でも、転職の場面でも同じように効いてきます。書類にどう落とすかはEC担当者の職務経歴書の書き方、面接で掘られたときの答え方はEC担当の転職面接で確認したいことで扱っています。
評価の物差しそのものを整理したい場合は、EC担当の市場価値とは何かもあわせてご覧ください。
「評価されないから転職」の前に確認したいこと
「成果を出しているつもりなのに評価されません。転職したほうがいいですか」と聞かれたら、私がまず確認するのは、評価制度の話ではありません。
先に確認したいこと
- 自分は何をしたのか、言葉にできているか
- その結果、何が変わったのか
- 上司はそれを知っているか
- 外部要因と自分の施策を切り分けて説明したか
- そもそも会社は何を評価する制度になっているか
やったことが共有されていないだけなら、伝え方を変えることで状況が動くことがあります。評価制度が売上中心なのに、業務改善を評価してほしいと考えている場合は、そこにずれがあるという話になります。
そのうえで、共有しても評価に反映されない、評価される軸と自分が伸ばしたい方向が大きく違う、任される経験や役割が広がらない、給与や役職に反映される見込みがない。こうした状態が続くなら、環境を見直すことも選択肢になります。今の会社で経験を取りにいけるかどうかの確かめ方は、今の会社で市場価値を上げられるか確認したい5つの条件で整理しています。
社内で評価されていないことが、そのまま市場での評価を意味するわけでもありません。自分の経験がどこまで積み上がっているのかは、社内の評価とは別に確かめておくと、判断材料になります。
自分の現在地を整理したい方へ
社内での評価と、これまで積んできた経験は別に見ておくと判断しやすくなります。担当範囲や裁量から現在地を整理したい方は、EC担当のキャリア現在地診断もご活用ください。所要時間は約3分です。
やった仕事を、自分だけが分かっている状態にしない
EC担当として評価されるために大切なのは、アピールがうまくなることではなく、自分の仕事を説明できることだと思っています。
何を見て、何を課題だと思って、何を変えて、何が変わったのか。それを社内で共有する。ECに詳しくない相手には、伝わる言葉に置き換える。
やった仕事を、やった本人だけが分かっている状態にしない。評価の話は、そこから始まるのだと思います。
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この記事は「市場価値とキャリアを考える」STEPの一部です。
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