EC担当として働いていると、「今の経験で十分なのだろうか」「このまま今の会社にいていいのだろうか」「次にどんな経験を積めばいいのだろうか」と考えることがあります。
ただ、EC担当者のキャリアは、持っているスキルだけを見ても整理しきれません。同じ「EC担当」という肩書きでも、会社によって任されている仕事は大きく違うからです。
自分で施策を考えて実行できる人もいれば、上司がほとんどの意思決定を行い、その指示を実行することが中心の人もいます。売上だけを見る人もいれば、広告、在庫、価格、商品企画、代理店、他部署との調整まで関わっている人もいます。
そこでEC Career Labでは、単純にスキルの有無を見るのではなく、「本人がどんな経験を積んでいるか」と「どんな会社環境で働いているか」を分けて整理するEC担当のキャリア現在地診断を用意しています。
この記事では、診断が何を見ているのか、結果をどう読めばいいのか、そして診断後に何をすればいいのかを解説します。
EC担当者のキャリアは、スキルだけでは判断できない
EC担当者のキャリアを考えるとき、「何ができるか」はもちろん重要です。
Amazonや楽天市場の運営経験がある。広告を理解している。数字を分析できる。代理店を管理できる。こうした経験は、キャリアを考えるうえで一つの材料になります。
ただし、同じスキルを持っていても、その人がどこまで自分で判断してきたかによって経験の意味は変わります。
同じ仕事でも「自分で判断した経験」が違う
例えば、施策としてAとBの2つの選択肢があったとします。自分はBがいいと思っていても、上司がAと判断すれば、必ずAを実行する。
この環境で仕事を続けていると、施策を実行する経験は増えていきます。一方で、
自分で判断する → 実行する → 結果を見る → 振り返る
という経験は、なかなか積めません。
私は、この一連の経験がEC担当者の成長ではかなり重要だと考えています。
正解を当て続ける必要はありません。自分で考えて判断し、その結果がどうなったのかを振り返る。その繰り返しによって、別の商品や会社でも使える判断基準が少しずつ作られていくからです。
そのため、現在地を考えるときには「何年ECをやっているか」だけでなく、どこまで自分で判断し、結果まで見てきたかを見る必要があります。
市場価値そのものをどう考えるかについては、EC担当の市場価値とは何か|成果・再現性・組織通過力で解説しています。
EC担当のキャリア現在地診断とは
EC担当のキャリア現在地診断は、EC担当者がこれまで任されてきた仕事や、現在働いている環境を整理するための無料診断です。
設問は12問で、所要時間は約3分です。氏名やメールアドレスの入力は必要ありません。回答内容も保存されません。
この診断の目的は、「あなたの市場価値は○点です」と評価することではありません。
今の仕事でどんな経験を積めているのか。会社の環境によって、どんな経験が積みやすい、あるいは積みにくいのか。それらを一度分けて見ることで、自分が次に何を経験すればいいのかを考えやすくすることを目的としています。
診断では「会社の環境」と「本人の経験」を分けて見る
この診断で特に大切にしているのが、会社の環境と本人の経験を分けることです。
EC担当者の仕事は、本人の能力だけで決まるわけではありません。組織構造、上司との役割分担、EC事業の位置づけ、価格や在庫に対する権限、代理店との分担などによって、任される仕事そのものが変わります。
本人について確認すること
診断では、本人について主に次のような観点を確認します。
- どこまでの仕事を任されているか
- 意思決定にどんな数字を使っているか
- 自分で決められる範囲はどこまでか
- 商品や企画にどこまで関わっているか
- 外部パートナーとどう関わっているか
- 主にどんな仕事を任されているか
- 改善の範囲がどこまで広がっているか
ここで見たいのは、単純な知識量ではありません。どの範囲まで自分で考え、判断し、周囲を動かしながら仕事を進めてきたかです。
会社の環境について確認すること
一方で、会社側についても別に確認します。
- EC売上がどのような構造で作られているか
- 社内でECがどのように扱われているか
- 価格や在庫にどの程度の優先度が置かれているか
会社側の条件を分けて見るのは、経験を積めていない理由をすべて本人の能力にしないためです。
会社環境と本人を合算した評価にはしない
本人の経験がまだ限定的でも、それだけで「能力が低い」とは言えません。そもそも裁量が与えられていなかったり、EC担当者が判断できる範囲が狭かったりする会社もあるからです。
逆に、環境に制約があっても、自分から数字を取りにいったり、他部署と調整したりして、担当範囲を広げていく人もいます。
そのため診断では、会社環境と本人の経験を分けて整理し、合算した総合点として表示していません。
診断でわかること
診断結果では、大きく2つの軸から現在地を確認できます。
1つは、本人がこれまで積み上げてきたキャリア資産。もう1つは、EC環境・事業構造の成熟度です。
この2軸から、
- 経験蓄積期
- 環境活用期
- 制約突破型
- 事業推進型
という4つの現在地のどこに近いかを表示します。
さらに、現在任されている仕事についても段階を整理します。そのうえで、
今の状態 → 強み → 注意点 → 現職で取れる行動 → 次に積む経験 → 転職を検討する条件
という順番で結果を確認できます。
重要なのは、結果の名前そのものではありません。「次にどんな経験を積むか」を考える材料にすることです。
市場価値がどのように積み上がっていくのかは、市場価値が積み上がる4つの成長フェーズで整理しています。
EC担当のキャリア現在地診断(12問・約3分)
今の自分がどこにいて、次にどんな経験を積むかを考える材料として使ってください。
現在地だけで、能力の高低は決まらない
診断結果を見ると、「もっと上に行かなければ」と考えてしまうかもしれません。しかし、この診断は人を順位づけするためのものではありません。
例えば、自分ではBを選びたいと思っていても、上司がすべて判断する会社では、本人が意思決定する機会そのものが少なくなります。
だからといって、すぐに会社を辞めるべきという話でもありません。むしろ、その環境の中で何ができるかを考える余地があります。
私が重要だと思うのは、社内調整力です。
メーカーでは、自分が正しいと思った案が、そのまま通るとは限りません。上司、営業、商品部門、ブランド部門など、それぞれに事情があります。
その中で、自分の提案を通したいのであれば、数字や根拠を準備するだけでなく、関係者と事前に話し、周囲の理解を得ながら意思決定を動かしていく必要があります。
少し言い方を変えれば「社内政治」に近い部分もあります。ただ、メーカーでEC事業を動かすうえでは、これも実務能力の一つです。
自分一人で正しい答えを出すことと、組織の中で実際にその答えを実行できる状態にすることは別だからです。
EC Career Labで市場価値を「成果」だけではなく、再現性や組織通過力まで含めて考えているのも、このためです。
診断結果の使い方
診断が終わったら、弱く見える項目をすべて改善しようとする必要はありません。まずは、次に積みたい経験を1つ決めることをおすすめします。
例えば、
- 施策の実行だけでなく、予算配分まで考えられるようになる
- 代理店から報告を受けるだけでなく、自分でKPIを設計する
- 自分の担当モールだけでなく、複数モールを横断して考える
- 上司に判断してもらうだけでなく、自分の案を根拠とともに提案する
などです。
そして、もう一つ大切なのが、その経験を積むための時間を作ることです。日々の運用業務で時間が埋まっている状態では、新しい経験を積もうとしても後回しになります。
何をやるかを決めるだけではなく、「そのために何を減らすか」まで考える。ここまで決めて初めて、診断結果が実際の行動につながります。
体系的に次のスキルや経験を確認したい場合は、EC担当者コースも参考にしてください。
転職するかどうかを、診断結果だけで決めない
診断結果を見て、「今の会社では経験が積めないから転職しよう」と考える人もいるかもしれません。ただ、転職は診断結果だけで決めるものではないと考えています。
転職にはメリットがあります。新しい環境だからこそ得られる経験もありますし、役割や年収が上がることもあります。一方で、環境を変えることで失うものもあります。
結局、転職は「する」「しない」の2択です。そして、どちらにもメリットとデメリットがあります。
重要なのは、それらを天秤にかけたとき、自分はどちらへ進みたいのかを決めることです。
何を大切にするかは、人によって違います。
- 年収
- 仕事内容
- 裁量
- 働き方
- 将来なりたい姿につながる経験
その天秤の軸は、本人にしか決められません。
診断結果に「転職を検討する条件」が表示されるのも、転職を勧めるためではなく、判断材料の一つとして使ってもらうためです。
診断だけではわからないこと
キャリア現在地診断だけで、すべてを判断することはできません。
例えば、
- あなたの適正年収
- 転職できるかどうか
- どの会社へ転職すべきか
- 実際の市場でどのように評価されるか
- これまでの成果に再現性があるか
- あなたが最終的にどんなキャリアを選ぶべきか
といったことまで、12問で決めることはできません。診断は、あくまで現在地を整理するための目安です。
大切なのは、診断結果を見て「評価が高かった・低かった」で終わることではありません。
自分はこれからどんなキャリアを歩みたいのか。その方向へ進むためには、どんなスキルや経験が必要なのか。そこから逆算して、次の行動を決めることです。
診断結果が低く見えたからといって、「転職できない」という意味でもありません。反対に、良い結果が出たから転職すべきという意味でもありません。
自分の状況を踏まえて考えを整理したい場合は、EC担当者の市場価値・キャリア整理相談(無料・30分)もご利用いただけます。
まとめ|診断は「評価」ではなく、次の方向を考える材料
EC担当者のキャリアは、単純なスキルの数や経験年数だけでは整理できません。
どんな環境で、どこまで任され、自分で何を判断し、その結果をどう振り返ってきたのか。そこまで見て初めて、今の現在地が見えてきます。
そして、現在地が分かったら、弱いところを全部埋める必要はありません。次に積みたい経験を1つ決め、その経験を積むための時間を作る。まずはそこからで十分です。
最終的に目指すキャリアは、診断が決めるものではありません。自分がどんなキャリアを歩みたいのかを考え、そのために必要な経験を選んでいく。
EC担当のキャリア現在地診断は、その方向を考えるための一つの材料として使ってください。
はじめてのメーカーEC講座|STEP 5
この記事は「市場価値とキャリアを考える」STEPの一部です。
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自分の現在地を整理したい方へ
いまの経験と会社の環境を分けて整理し、次に積む経験を考えたい方は、EC担当のキャリア現在地診断もご活用ください。所要時間は約3分です。

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