EC担当の志望動機の考え方|経験・転職理由・「次にやりたいこと」をどうつなぐか

この記事でわかること

  • EC担当の志望動機を「過去の経験 → 次にやりたいこと → 応募先」でつなぐ考え方
  • メーカーECで「商品が好き」「ブランドを育てたい」を志望理由にするときのポイント
  • ネガティブな転職理由を、無理に言い換えずに整理する方法
  • 志望動機と自己PRの違い
  • 3パターンの例文と、自分で志望動機を作るための5つの質問

EC担当として転職を考え始めると、職務経歴書と並んで手が止まりやすいのが志望動機です。「御社の商品が好きで」「ECに興味があって」と書き始めたものの、それ以上何を書けばいいのか分からない、ということもあると思います。

この記事では、例文を並べるのではなく、EC担当の経験者が自分の言葉で志望動機を組み立てるための考え方を整理します。例文も3つ載せていますが、そのまま使うためではなく、組み立て方の見本として読んでください。

目次

EC担当の志望動機は「入りたい理由」だけではない

志望動機というと「その会社に入りたい理由」を書くものだと思われがちです。もちろんそれは中心にあります。ただ、EC担当の中途採用では、それだけだと採用側が知りたいことに届きにくくなります。

私は、志望動機は次の4つをつなぐものだと考えています。

志望動機でつなぎたいこと

  1. これまで何を経験してきたか
  2. その経験を次の会社でどう活かせそうか
  3. 次に何を経験し、どう成長したいか
  4. なぜその会社・ブランド・ECポジションなのか

私自身がEC担当への転職を考えていたときに大事にしていたのも、記憶している範囲では、大きく2つでした。これまでの経験を活かせることと、新たにスキルアップできることです。

経験を活かせるのは「過去」の話、スキルアップは「未来」の話です。そして、その両方が実現できそうな場所として「応募先」がある。この3つがつながると、なぜこの会社に転職したいのかを説明しやすくなります。

まず「これまでの経験」と「次にやりたいこと」を整理する

これまで何を経験してきたか

メーカーECへの転職では、これまでの経験を活かせるかどうかは大きいと私は考えています。楽天市場やAmazon、自社ECの運営、広告運用、商品ページやCVRの改善、代理店管理、売上管理、複数モールの担当、数値責任。どれも次の会社で活かせる可能性があります。

ただ、経験を並べるだけでは志望動機になりません。大事なのは、その経験を応募先でどう活かせそうかまで考えることです。

これまでの経験応募先での活かし方の例
楽天市場の運営楽天を伸ばしたい会社で、セール設計やページ改善をすぐに担える
Amazonの運営Amazonを強化したい会社で、商品ページやレビューの改善に活かせる
広告運用・代理店管理代理店に任せている会社で、提案を評価し方針を決める側に立てる
CVR改善集客はできているが売上が伸びない会社で、ページや導線の見直しに活かせる
複数モールの担当チャネルを横断して予算や施策を配分する役割に活かせる

何をどこまで担当してきたかを整理する方法は、EC担当者の職務経歴書の書き方で詳しく扱っています。志望動機の材料も、この棚卸しから出てきます。

次に何を経験したいか

もうひとつの軸が、次に何を経験したいかです。たとえば、ひとつのモールだけでなく複数チャネルを見たい。売上だけでなく利益や予算まで責任を持ちたい。ブランドを育てる仕事に関わりたい。EC戦略を考える側に回りたい。チームをまとめたい。自社ECを強くしたい。

「次にやりたいこと」があると、志望動機が「入れてほしい」から「ここでこう成長したい」に変わります。どんな経験を積むと市場で評価されやすいかは、EC担当の市場価値を高める5つの行動も参考にしてください。

メーカー側と支援会社側では、次に積みやすい経験の方向も違います。その違いはメーカーECと支援会社で身につく経験の違いで整理しています。

なぜその会社なのか

最後に、なぜその会社なのかを考えます。商品、ブランド、ECチャネルの構成、事業のフェーズ、担当範囲、裁量、EC組織の体制。経験を活かせて、次にやりたいことも実現できそうだと思える理由が、応募先のどこにあるのかを言葉にします。

ここで必要になるのが、応募先の仕事の中身を知ることです。求人票から担当範囲や期待されている役割を読み取る方法は、EC担当の求人票の読み方で整理しています。

メーカーECなら「商品が好き」も立派な志望理由になる

転職記事では「商品が好きだけではNG」と書かれていることがあります。私はそうは思いません。メーカーECでは、「御社の商品が好き」は重要な志望理由だと考えています。

自分が扱う商品やブランドに関心があると、商品の良さを理解しようとしますし、どう伝えれば届くかを考えるようになります。それは商品ページの改善にも、レビューへの向き合い方にも、ブランドの育て方にもつながります。

メーカーECの魅力はブランド育成にある

私は、メーカーECの魅力はブランド育成にあると考えています。メーカーECは、商品をオンラインで売るだけの仕事ではありません。

商品をどう見せるか。ブランドをどう伝えるか。顧客とどこで接点を持つか。どのチャネルで売るか。リピートやレビュー、CRMをどう設計するか。モールの中でもブランドらしさをどう表現するか。自社ECで何を伝えるか。こうした積み重ねを通じて、ブランドを継続的に育てていく仕事でもあります。

これらを全部経験していないと応募できない、ということではありません。「メーカーECだからこそ、ブランドを育てる仕事に関わりたい」という志望理由は、それだけで十分に成り立ちます。そこに、これまでの経験のうちどれが活かせそうかを添えられると、より伝わりやすくなります。

「商品が好き」で話を終わらせない

一方で、「商品が好きです」だけで終わると、採用側からは分からないことが残ります。なぜ販売や企画ではなくEC担当なのか。自分の経験をどう活かせるのか。入社後に何をしたいのか。

「商品が好き」が悪いのではなく、そこで話が終わっていることが弱いのです。商品が好き、に自分のEC経験と、その商品・ブランドでやりたいことを足すと、志望動機として立ち上がってきます。

「ECに興味がある」だけで終わらせない

「ECに興味があるから」という志望理由は、私の感覚では少し弱いと感じます。未経験からECを目指すことが悪いわけではありません。問題は、「興味がある」で話が終わってしまうことです。

なぜECに興味を持ったのか。今何を学んでいるのか。広告、ページ改善、CRMなど、どの領域に興味があるのか。ECで何をやってみたいのか。ここまで具体的になれば、未経験でも志望動機として十分に強くできます。

転職理由がネガティブでも、無理に隠す必要はない

転職を考えるきっかけが「今の会社が嫌だから」ということは、珍しくありません。私は、その本音を必ずしも隠す必要はないと考えています。すべてを無理にポジティブに言い換える必要もありません。

たとえば「トップダウンが嫌だった」を、機械的に「御社は裁量がありそうなので志望しました」と言い換えても、中身が伴っていなければ深掘りされたときに説明できません。大事なのは言い換えることではなく、ネガティブな理由を自分の中でどう整理できているかです。

何が嫌だったのか、なぜ問題だったのか

まずは何が嫌だったのかを具体的にします。トップダウンが嫌だったなら、何が決められてしまうのが嫌だったのか。施策の中身なのか、予算なのか、検証の機会なのか。そして、それがなぜ自分にとって問題だったのか。「自分の仮説を試せないまま、結果だけ求められる」ことが問題だったのかもしれません。

次は何を変えたいのか

次に、それを「次は何を変えたいのか」に言い換えます。上の例なら、「施策の立案から検証まで一貫して担える環境で働きたい」になります。何がネックで、何を変えたいのかを整理する方法は、EC担当を辞めたいと思ったときに整理したいことでまとめています。この記事は、そこで整理したことを転職理由と志望動機として言葉にする段階にあたります。

同じことを繰り返さないために何を確認するか

採用側から見ると、ネガティブな理由だけで転職しているように見えた場合、「環境を変えても同じ問題を繰り返すのではないか」という懸念を持たれる可能性があります。必ずそう見られるわけではありませんが、そういう見方があり得ることは知っておいて損はありません。

そのうえで、変えたいことが応募先で本当に実現できそうかを確かめておくと、説明に一貫性が出ます。面接で担当範囲や裁量をどう確認するかは、EC担当の転職面接で確認したいことで整理しています。本音をどこまで率直に伝えるかは、こうした見られ方を理解したうえで、自分で判断すればいいと思います。

志望動機から「入社後に活躍する姿」が見えると強い

私が「この人は活躍できそう」と感じるときの軸に、成果・再現性・組織通過力があります。EC担当の市場価値をこの3つで整理する考え方は、EC担当の市場価値とは何かで詳しく書いています。

志望動機をこの3つで採点する、という話ではありません。志望動機を聞いたときに、その人が過去に何をしてきて、それを次の会社でもどう活かせそうかまで見えると、入社後の活躍イメージにつながりやすい、ということです。

成果

売上を伸ばした、CVRを改善した、広告の効率を上げた、新しいモールを立ち上げた。何がどう変わったのかが伝わると、経験に中身が出ます。具体的な数字を出せない場合もあるので、数字は必須ではありません。「何が変わったのか」が伝われば十分です。

再現性

「売上が伸びました」だけでなく、何を見て、何を考え、何を変えて、結果どうなったのか。この流れを説明できると、「別の会社でも同じように考えられる人」に見えます。志望動機の中で、応募先の課題にどう応用できそうかまで触れられると、再現性が伝わりやすくなります。

組織通過力

ECは一人で完結しないことが多い仕事です。上司、商品企画、営業、物流、CS、システム、代理店、制作会社。自分の案を実行するために、周りとどう進めてきたのかが見えると、ツールを使える人ではなく、組織の中でECを動かせる人として見えやすくなります。

志望動機と自己PRは同じではない

ここで注意したいのは、志望動機のすべてを「私は御社にこれだけ貢献できます」という自己PRに変えなくていい、ということです。

志望動機自己PR
答える問いなぜその会社・仕事を選ぶのか自分の経験や強みをどう活かせるのか
中心になるもの商品・ブランド・事業への関心、次にやりたいことこれまでの成果と、その出し方
重なる部分経験と応募先の接点(どこで活かせそうか)

商品が好き、ブランドが好き、この事業に関わりたい。そうした気持ちは、そのまま志望動機の中心にあっていいものです。実際の面接では両者はつながって語られますが、この記事で扱うのは「志望理由」と「経験との接点」までです。

EC担当の志望動機を3パターンで考える

ここからは、架空のEC担当者を想定した例文です。そのまま使うためではなく、「過去 → 次にやりたいこと → 応募先」がどうつながっているかを見てください。

例1:経験を活かす型

例文(楽天・Yahoo!ショッピングの運営経験3年の場合)

現職では楽天市場とYahoo!ショッピングの店舗運営を3年担当し、セール時の商品ページとクーポン設計の見直しに取り組んできました。売れ筋商品の離脱が多いページを優先して改善したことで、セール期間の転換率が上がりました。御社は現在モール中心の販売から自社ECの強化を進めていると伺い、モールで積んだページ改善の経験を活かしながら、自社ECの集客からリピートまでを一貫して見る経験を積みたいと考え、志望しました。

過去(モールでのページ改善)、次にやりたいこと(自社ECを一貫して見る)、応募先(自社EC強化のフェーズ)がつながっています。

例2:ブランド・商品型

例文(Amazon運営を担当してきた場合)

御社のスキンケアブランドは、私自身が数年使い続けている商品です。現職ではAmazonの運営を担当し、レビューを読み込んで商品ページの訴求を見直すことを続けてきました。使い手として感じている良さが、今のオンラインの売り場では十分に伝わりきっていないと感じる部分があり、レビューから顧客の声を拾ってきた経験を活かして、モールでも自社ECでもブランドの伝わり方を揃えていく仕事に関わりたいと考えています。

「商品が好き」から始まっていますが、そこで終わらず、自分の経験(レビューからの改善)とやりたいこと(ブランドの伝わり方を揃える)に発展しています。

例3:転職理由から「次にやりたいこと」につなげる型

例文(施策の決め方に課題を感じていた場合)

現職では広告運用と販促の実行を担当していますが、施策の内容や予算は上長が決め、効果の検証に関わる機会がほとんどありませんでした。実行を重ねる中で、自分で立てた仮説を検証まで持っていきたいという思いが強くなり、転職を考えました。求人票と面接で、御社ではEC担当が施策の立案から効果検証まで担っていると伺い、これまでの運用経験を土台に、判断と検証まで責任を持つ経験を積みたいと考えています。

「決められたことしかできなかった」という不満を隠さず、何を変えたいのか(検証まで担う)と、応募先でそれが実現できそうな根拠(求人票と面接で確認した担当範囲)につなげています。

弱くなりやすい例と、その具体化

話が途中で終わっている例

「ECに興味があり、御社の商品が好きなので志望しました。」

この文の「ECに興味がある」「商品が好き」は、どちらも悪くありません。弱く見えるのは、なぜEC担当なのか、何ができるのか、入社後に何をしたいのかが書かれていないからです。

「御社の商品を長く使ってきました。現職では自社ECの商品ページ更新とメルマガ配信を担当しており、購入後のフォローでリピート率が変わることを実感してきました。御社の商品はリピートされやすい一方で、オンラインでの購入後の接点はまだ広げられる余地があると感じており、これまでの経験を活かしてCRMの設計にも関わりたいと考えています。」

同じ「商品が好き」から始めても、経験とやりたいことを足すだけで、採用側が入社後の姿を想像しやすくなります。

志望動機を作る前に答えたい5つの質問

自分の志望動機を作るときは、次の5つの質問に答えてみてください。

志望動機の骨格を作る5つの質問

  1. これまでECで何を担当してきたか
  2. その中で、何が得意だったか(何を変えられたか)
  3. 次に、どんな経験を積みたいか
  4. なぜその会社・商品・ブランドなのか
  5. 自分の経験を、そこでどう活かせそうか

1と2が「過去」、3が「未来」、4と5が「応募先」です。この順につなげて読むと、それが志望動機の骨格になります。うまく答えられない質問があれば、そこが整理しきれていない部分です。1と2が書けないなら経験の棚卸しを、3が書けないなら次に何を伸ばしたいかを、4と5が書けないなら応募先の仕事の中身を、もう一度見直してみてください。

特に3の「次にどんな経験を積みたいか」は、今の自分がどこまで担当できているかが分からないと決めにくいものです。

自分の現在地を整理したい方へ

志望動機を書く前に、これまでどんな経験を積んできて、次に何を伸ばしたいのかを整理しておくと、言葉にしやすくなります。担当範囲と役割から現在地を整理したい方は、EC担当のキャリア現在地診断もご活用ください。所要時間は約3分です。

志望動機は「過去」と「次」と「応募先」をつなぐ

志望動機に正解のテンプレートはありません。これまで何を経験してきたか。その経験をどう活かしたいか。次に何を経験したいか。そして、なぜその会社・商品・ブランドなのか。この4つが自分の中でつながっていれば、言葉は多少拙くても伝わります。

メーカーECなら、「商品が好き」「このブランドを育てたい」という気持ちは大切にしてください。そのうえで、成果や、その出し方、周りを巻き込んで進めてきた経験まで見えると、志望理由は入社後の活躍イメージにもつながっていきます。

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この記事を書いた人

EC Career Lab運営者

EC領域で約10年。メーカーEC、ECモール企業でのメーカー支援(100社以上)を経て、現在はメーカー側で複数モールを統括し、月商1〜2億円規模のEC事業を運用しています。

メーカーECの実務とキャリアについて、現場での経験をもとに発信しています。

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